アクアリウム ベタ

ベタ水槽での失敗談

今回はベタ水槽のちょっとした改造をしたら見通しが甘くトラブルになってしまった失敗談について書いていきます。2020年時の記録を元に記事を作成しております。

きっかけとして

発端としてはYouTubeでもよく見かける「ベタマンション」でした。

ベタ1匹の大きさは最大でも7㎝ほどであり、30㎝水槽ではかなり余裕があります。

MAXで4匹のベタと暮らしていた事がありますが、ここで「ベタマンション」の影響を受けてしまい、あれほど綺麗なものでなくとも、理屈としては30㎝水槽の真ん中を仕切った水槽でベタ2匹の飼育であれば水質的にも問題は無いであろう…と思っていました。

「ベタマンション」の作り方はコレクションボックス内(ショップではこの四角いガラスケースでベタを管理している場合が多い。)にベタを入れ、更にそれを水を張った大きな水槽に入れて一気に水温管理をするタイプ(湯煎のような形。)や、私が実行したように、一つの水槽を何区画かにセパレートして直接ベタを入れて飼育するタイプなどがあります。我が家は後者の方法を選びました。

それぞれのメリットとデメリット

コレクションボックスタイプのメリット

  • 一度に水温管理ができる
  • 病気の魚が出ても他の魚に感染するリスクがない
  • それぞれ隔離はされているが、同じ水槽内に沢山のベタが泳いでいる様子が非常に美しい

コレクションボックスタイプのデメリット

  • コレクションボックスを入れるための外枠となる大きな水槽にはそれに見合ったヒーターを用意しなくてはならない
  • ボックス自体は手狭であり、水量は少ない。水量が少ないと水質が悪化しやすいため、水換えの回数を増やしたりフィルターをそれぞれ設置してあげるなどの工夫が必要

セパレータータイプのメリット

  • セパレーターのみで完結するため金銭的な負担は少なめ
  • 水槽やフィルターの数も少なく済む。ベタのような単独飼育が推奨されている魚を沢山飼育されている場合、水槽の数が減る事は居住スペース的にも水換えの負担的にもありがたいことです。

セパレータータイプのデメリット

  • 万が一病気の魚が出た場合、他の魚にも感染する恐れがある
  • セパレーターが外れる事故があると魚同士が喧嘩して大怪我をする恐れがある。

実行と失敗

水槽内をセパレートする際、熱帯魚店やアクアリウムショップなどでアクリル製やプラスチック製のきちんとしたセパレートが売られています。

しかしこれは自作する事も可能であり、工作が出来る方であれば百均の材料でセパレート自体の作成はできます。水槽 セパレート 自作などで検索すると、自作されている方のブログなどが出てくるかと思います。

材料は

  • 鉢底ネット(園芸コーナーにあります。本来は鉢底から虫が入ったり、土の流出を防ぐための物です)
  • 結束バンド(家電や電気小物のところに置いてあるかと思います)
  • 吸盤(収納関係の置いてあるかと思います)
  • レールファイル(書類を入れるファイルです。文具コーナーにあります。バーファイルとも言うようですね。)  となります。

レールファイルに関しましてはレール部分のみを使用します。30㎝水槽を対象に作成しました。

こちらがレールファイル。本来の用途は色のついているレール状の棒を外し、透明なファイル部分に書類を入れ、ファイルをレールに挟みこませて使います。

これらの物を組み合わせてセパレートを作成していきました。作成方法は成功例と大体同じです。

2020年6月28日。まだ平和な風景…

これが失敗となったものです。この画像だと何だか隔離成功して見えますね。

結論から言うとセパレートが脆すぎてベタ同士が大喧嘩&大怪我しました。

失敗した原因として

  • 見た目を気にするあまりに吸盤を少なくしてしまった事(水槽前面には付けなかった)
  • セパレート自体の大きさが水槽奥行よりも若干大きかった事(上から見ると弓のようになっていた。バランスを崩しやすく、少しの衝撃で倒れた。更に吸盤が少ない事でセパレートが倒れる原因に。)
  • ソイルで支えるにしてもソイルの厚みが薄すぎた事  でした。

翌日仕事から帰って様子を見ると、それはもう悲惨な事になっていました。セパレートが外れてしまい大喧嘩し、二匹とも大怪我です。雄のベタはヒレというヒレ全てがボロボロでした。特に尾びれと胸鰭、腹鰭はほぼ無くなってしまったような状態でした。尻鰭も横に真っ二つのような状態です。

雌のベタは横腹の肉が抉れて出血。尾びれもほぼ無いような状態になってしまい、状況を把握した瞬間に血の気が引きました。ベタは闘魚と言われるように、雄同士だとどちらかが亡くなるまで戦うようですが、オスメスでも喧嘩はします。しない個体もいるようですが、まず喧嘩はするものだと思っていた方が良いです。

こんな事態になっても意外と体は動いてくれるもので、隔離容器二つとカップを用意して取り合えず二匹を引き離し、隔離容器にはブラックウォーターの素+塩浴。

水槽内に浮いていたベタのヒレ。どちらのものかは不明。

千切れたヒレの画像なんて見てるだけでも痛々しいですが、後学のため、戒めのため、保存しておくことにしました。

急いで引き離すにしても余っていた水槽は無く、大きめの調理用ボウル(4ℓほどのもの)を使用しました。

速やかに引き離す。

この時はしっかり計算して作ったはずなのに、設置した日は異常なかったのに…などと思っていましたが、改めて見ると一度目のセパレートは作りが甘すぎます。そしてベタは想像以上に力がありました。

人間からするとベタの力など微々たるものですが、ベタ同士だとまた話は変わってきますね。

私本人が自己の不注意から怪我をする事よりも、この子達が傷ついた時の方がショックでした。

ああだこうだ言ったところで、こちらの計算の甘さから要らぬ怪我をさせてしまった事は事実であり、一番大変な思いをしたのはこの子達ですね。セパレート水槽そのものはメリットも沢山ありますが、結果として傷つける事となってしまい、猛省しました。

その後は塩浴とこまめな水換えにて6月29日~7月10日あたりまで治療いたしました。

ブラックウォーターに入ってるベタ。ヒレが短くなってしまいました。

ショックが大きすぎたようで、この時の写真が少ないです。

セパレート水槽の作成方法(成功例)

こちらは前回の失敗を踏まえて作成したセパレートになります。現在は使用していませんが、今後の為の資料として現物を保管してあります。

改善点として

  • 吸盤を増やしたこと
  • 水槽の奥行のサイズに合わせて切る際に、サイズの過不足無く切る事
  • ソイルはセパレートのレールが埋まるくらいの量をいれた  でした。

二番目のサイズの過不足ですが、これは水槽の奥行より大きすぎてもセパレートがたわんでしまい、少しの衝撃で倒れてしまいます。小さいと隙間から魚が入り込む場合があり、セパレートとしての意味を為さなくなります。

全体図。使用していたため全体的に汚いです。向かって左側が水槽上部にあたります。右側は水槽の底部

水槽の奥行に合わせて鉢底ネットを切ります。鉢底ネットを使う理由としては、通水性があるためとなります。きちんとした製品のセパレートもパンチングボードのように穴が開いているため、通水性があります。同一の水槽で同一の水を使いながらにして生体の隔離ができます。

鉢底ネット一枚ですと強度的に心許ないため、2枚重ねた上で使用。

二枚重ねた鉢底ネットは、レールを被せるところや、体の体が傷つかないような場所(水槽上部やレールでカバーできるところ)を結束バンドで固定します。その上からレールファイルのレール部分を被せることにより、結束バンドをカバーしつつ鉢底ネットの補強になります。結束バンドは結束して余ったところを切ると結構切り口が鋭いです。

なるべくコンパクトに仕上げたかったことから、吸盤を固定したいところの鉢底ネットは「くの字型」に少し切りました。吸盤も結束バンドで固定。ここはレールでカバーが出来ない為、結束バンドの余ったところは切り口が鋭くならないように丁寧に処理。万が一切り口に生体の体が触れてしまうと傷を作ってしまうこととなります…。

水槽上部にあたるところ。吸盤は水槽背面側のガラスにくっつけます。
水槽の背面ガラスに着ける吸盤。左下側の「レ」を逆にしたような切り口は、外掛けフィルターの吐水口に合わせて切ってあります。
吸盤は2か所、水槽背面側と前面上部側です。 結束バンドで固定した個所はレール内。3.4か所固定。上部側は生体が触れる事が無いため結束バンドが露出していても大丈夫だとは思います。

作り方自体は失敗例も成功例もそこまで変わりはありません。ソイルを敷いて補強の効果を狙いましたが、ソイルを敷かず自作される方は更に吸盤を増やして補強する方が良いと思います。水を入れた水槽に実際に取り付けてみて、あちこちから押してみて外れないか確認してみる事もお勧めします。

改善をしてもう一度

懲りずにもう一度セパレート水槽の作成。6月29日の失敗から二週間近く、実はこの間に水草の種をソイルに蒔き、育てていました。ソイルの重みに追加して、水草の根がはってソイルと絡む事から、もしかしたら更に補強されるかも…?という考えからです。

水草の種はAmazonで購入しました。品種は謎です…。茶色っぽい小さなジップ付きの袋に種が入った物が3つでした。

湿らせたソイルに種を蒔き、その後は発芽するまで霧吹きで水やりをして、保湿の為にサランラップで蓋をしていました。ある程度まで伸びたらそのまま水を入れて育てました。

2020年7月11日の様子。しっかり伸びてます。
2020年7月13日。水を入れました。

水を入れるとそれっぽい感じになりました。

セパレート付き水草水槽へ

2020年7月14日

出血も治まり、ヒレが回復している事を確認したため、いよいよ元水槽にベタ二匹を放ちました。

水草の緑とベタの赤がお互いを映えさせていますね。

ベタのその後

2020年7月26日

6月29日から一か月近く、ヒレはだいぶ回復して、透明な膜のようなものが尾ヒレ先に確認できます。

ベタの回復力って凄いものですね…。

2020年7月26日

雌はそこまで傷は目立たなくなりました。軽いヒレ裂けのレベルまでに回復。

雄ベタの方が深手を負っていたので、雌の方が気が強く、攻撃したのかもしれませんね…。

2020年9月13日 傷はもう無くなりました。
2020年9月13日 尾びれと尻びれ以外は完治。尾びれはまだ生えてくるところですね。

九月にもなるとどちらのベタも回復してくれました。長い治療期間、本当に頑張ってくれました。

やっとベタらしい姿に戻ってくれました。

ベタは強いお魚と言われていますが、その強さに甘えてはならないと思った出来事でした。

人間と同じく、回復力や病気に対する抵抗力は歳を重ねるごとに低下します。まだ若い時期だったことが救いでした。

セパレート水槽を自作しようと考えている方やベタマンションにすることを考えている方への一つの参考になればと思います。メーカーさんが研究を重ねて作った製品はそれなりにお値段がしますが、正直素人作成の物から生体が傷ついたり、最悪亡くなってしまう事を考えると、しっかりとした製品の方が安心出来る点が多いです。値段が高ければ良いというものでもないですが、その値段は一種の安心材料にもなります。ご参考までに。

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